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コールマン508Aレストアと290Aの再塗装

【おことわり】
本投稿にあるにあるホワイトガソリン用火器のケロシン対応についての内容は、全て投稿者個人の使用を目的として行った改造であり、他者にお薦めするものではありません。参考にされる方がいらっしゃるようでしたら、ご自身の責任によるご判断のもとで行ってください。投稿者は責任を負いません。

長いことほったらかしてた野営道具のコンテナから出てきたコールマン508Aの再生を思い立ったけどかなりめんどくさいことになっちゃった記録

<長いので目次>

#発見から様子見


古いコールマン508Aが出てきました。92年4月製のワンレバータイプ。はるか昔、誰かに譲ったような記憶がうっすらあったので出てきた時にはちょっとびっくり、ふりかえってみれば20代の頃、南は石垣島の米原キャンプ場から北は羅臼とか網走の呼人浜とかまで旅を共にしていた道具ですから、これからの人生に改めておつきあいいただくことにして化粧直しをしてみることにしました。

冒頭の画像は発見時の姿。なぜかケースがなくなっていて、本体だけが古いウエスに包まれてビニール袋に密封されてました。

こんだけ錆びてりゃあ完全なレストアは無理っぽいけども、ゆるくレストアしてちびちび綺麗にしてあげればいいかな、ということで早速分解。ところがバーナーリングの大ネジのさびつきが激しすぎて全く回らず。MD-40たっぷり吹いて一週間浸透させて電ドリでぐりぐりしたけど回らないどころかねじ山が削れてただの四角い穴に。ネジ一本で絶望してたらふとネジザウルスがあることを思い出して使ってみたら一発で解決、何かいろいろ無駄にした気分。


ネジザウルスは偉大なり。削れた穴が四角くなってる。ネジはインチサイズだったけどホムセンでなんとか探して新品に。

何とかバラバラにした。バーナー取り付け部分は、新しいタイプはアルミ製でナット留めのようだけど92年製はスチール製でリベット留めだったのでそのままにした。


分解してみるとサビは別として大きな破損はなく、ポンプ部分とかバルブとかの調整すれば使えそうなかんじ。


スッカスカのポンプフランジャーを抜いたらポンプカップがボロボロに砕けた。十数年置いとくとこうなっちゃうらしい。


チェックバルブ周りはぴかぴか(に見えた)のでメンテ割愛。

ということで、ポンプカップ替えてポンピングしてみたらぐいぐい手応えが回復、バルブを開けたらバーナーからエアーが元気にシューシュー言ってるし、タンク内のサビがほとんど見られなかったので復活可能と判断、外見の手入れを優先させることにしたのでした。

#タンクの再塗装着手

発見から分解したりして様子見した結果、機能的には使えそうなので、サビサビの外見をなんとかするために塗装の剥離とサビ取りと再塗装をすることにしました。


塗装はく離した。すっきり落ちたけどそれなりに錆びてる。

できるだけ楽したいので剥離剤塗りたくってキッチンペーパーと新聞紙でくるんだやつをコンビニ袋に密閉して次の週末まで放置。真鍮ブラシで軽くこするとすっかり綺麗に。


刻印くっきり。92年製。直接地面に触れるヘリからのサビが目立つ、が、綺麗にとれる自信なし。

剥離剤のすごさも体験。


剥離剤はシリコンの手袋をボロボロにします。おそろしや。

で、#400番のサンドペーパーで歩く足つけしてプライマーで下塗り。


薄く薄く3回吹いた。2回目の時転がしちゃってできた傷がヘリに見えるけど、ラッカー吹く前に#1000番で水研ぎしてごまかした。

サビのもっともひどいバーナーのコア部分も必死にサビ落とし



さびさびのヒーターコア、スチールブラシでガンガンやっても一向に錆が取れないバーナーのコア部分。奥のさびさびのパイプ部分からガス化した燃料がでて両脇のファイバーに蓄えられるしくみ。ファイバーも縮こまって機能しそうにないかんじ。

並行してタンクの色付けをお安いラッカースプレーで。


ラッカー吹き着手。1回目超薄く吹いた後の2回目の乾燥中画像。

と、自分なりにここまで順調に進んできたので、綺麗に組み上がった姿があたまの中をチラチラしちゃったりしてちょっといい気分に。

ところが、物事はそうはたやすく進まない。早く完成させたい、という気持ちが焦りを呼び、思わぬ事故が起こることになるのでした。

#塗ったら焦るな酔ったらいじるな(塗装失敗)


いったいどこまでつづくかわからなくなってきたレストアの道、タンクの再塗装が順調に進んできたところに思わぬつまづき。

ということで、早く完成させたい気持ちが先走って色付け最後の3回目のラッカー吹きを終えた直後に事故発生。ホンプシリンダに差し込んでいた手持ち棒から本体が落下、ホンモノの土でウエザリング仕様に。2016年一番のショック。

丁寧にラッカー吹いて安心した直後に手荒に扱っちゃったのが原因。あとはクリアー吹いて仕上げるだけ、っていう気持ちが油断を呼びました。乾燥後に土を払ったけどデコボコが目立つばかり、おっかなびっくり#1000番で水研ぎしてみたけどそれほど綺麗にならず。どうしようかとひとしきり考えた結果、タンクの下の縁だけもう一回上塗りして見て状況を見ることに。

塗装の乾燥は焦ったらいかん、と肝に命じて、日曜日の夕方にラッカー吹いて次の休みまでかっちり乾燥させようと放置。

のはずが、しこたま呑んで帰宅した金曜の深夜、我慢できずにコートも脱がずに立ったままペリペリマステ剥がし始めちゃったのが失敗のはじまり、歳のせいで目の方もだいぶん弱ってきているから貼り付けたマステの切れ目をガン見、テープを剥がそうと力を入れたら顔の高さからつるりと勢いづいて落下したからたまらない、テレビ台の角にタンクのヘリが大きな音を出して強打。2回目の落下事故となったのであります。


最初の事故はラッカー上塗りでごまかし(画像左端)て、一週間放置して乾燥させるつもりが、やらなきゃあいいのに酔っぱらっていじっちゃって2度目の落下事故。厚塗りの塗装を地金まで剥がす深い傷に。何やってんだ自分。

もうだめだ、と半ば諦めながら往生際悪く車用のタッチペンのプラサフで傷を埋めてみた炊けど全然アカン状態に。ここまでになっちゃったら、やっぱちゃんと仕上げないといかん、ということで剥離・塗装のやり直しを決意。

というのも、今回の508Aの再塗装は、あれこれいじって26年間使ってる290A一号機のタンク再塗装という本番を控えたリハーサル的な目的を兼ねていて、とはいえ練習っていったって完成までいってなければ意味ねえよという気持ちと、やってみると塗装の作業って結構楽しいっていう気づきがあったから。 

こうなってくると事故の反省とか早速再塗装したいとかの焦りで前にのめりがちな気持ちがずんずん出て来ちゃうわけですが、頭を冷やして冷静に完成イメージを持つためにこの状態で本体を組むことに。


がっくりしながら完成目標をきっちり持つために組むだけ組んでみたら、なんか格好よかったので二度寝する受験生のかけぶとんの膝の上あたりに置いて記念撮影。完全に見てくれだけ。インスタでいいねくれた皆さんにもうしわけないったらない。

まあこうやってみるとなんかいい感じがして、ひとしきり眺めちゃっていい気分になったりしちゃったりなんたりして。

#バーナー部分の整備

この時ふと湧いたのが「そういや、このストーブ、ちゃんと火つくのか?」という疑問。考えて見たら、そういうところ確認せずに再塗装とかはじめちゃってるし、これで火がつかなかったら元も子もなくなっちゃうし。元も子もないのはこのブログの伝統の芸風ではあるけど、じっさいに道具として使えなきゃあいじってる意味も目的もないし、落下事故のショックを和らげるために間を置くのもいいかと思ったのでこの段階でケロシンでの着火確認をしてみることにしました。

あ、ちなみにサビサビが酷すぎるバーナーコア部分はケミカルで酸化処理とか考えたけど、使ったらまた錆びるところかも、と考えて深入りせず。サビの上から強引に耐熱塗料をたっぷり吹き付けただけにしました。


さびとりをさっさと諦めて、効くかどうかわからないけど耐熱塗料たっぷり吹いてみた。純正ファイバーも手に入れたので押し込んだ。見てくれだけすっきり。

ともかく、この先どうなるのかさっぱりですが、508Aのケロシン使用とリングの枚数追加の効果を考えてみることにしました。


耐熱塗料でテラテラになったバーナー部分。ケロシン使用を考慮してリングを追加して5枚重ねで組んでみる。嵩が上がって引っかかる五徳の下側は金ヤスリで適当にガリガリ削って対応。

#ケロシン使用とバーナーリングの枚数の検証

【おことわり】
本投稿にあるにあるホワイトガソリン用火器のケロシン対応についての内容は、全て投稿者個人の使用を目的として行った改造であり、他者にお薦めするものではありません。参考にされる方がいらっしゃるようでしたら、ご自身の責任によるご判断のもとで行ってください。投稿者は責任を負いません。

相次ぐ塗装失敗から現実逃避して、ケロシン使用時の着火確認とバーナリングの枚数の検証の実験。

ということで、個体差もあるようなのでうちの508Aはどうなのか、という疑問から白ガス純正の3枚を起点に4枚と5枚に増やした場合を比較してみました。

純正の白ガス用の3枚だと炎の出口に対してガス化した燃料の比率が多いようで出力をあげるほど赤い炎がかなり混ざります、4枚でも同様でフル出力で火だるまに近い状態。これに比べて5枚だと燃料の出口が増えるためか赤い炎は目立たなくなりました。実際は枚数に関係なくレバー中位でも火力は十分で、フル出力することはあまりなさそうなので3枚でも4枚でも実用に耐えると思いますが、追加リング買っちゃったし、余らせてもこの先使い道ないし、枚数が増えることであたっちゃう五徳の下側ガリガリ削っちゃったし、ということで5枚のままで当面使うことにしました。

5枚リングフル出力状態のバーナーでも綺麗に青い炎が出てる。にしても熱量すごすぎ、タンクまで熱々。最大出力で連続使用はちょっと怖いくらいです。

で、とろ火とか弱火が難しいと言われているワンレバー508Aのケロシンでの弱火はどうかというと。


火力調節もそれなりにできてる。だが弱火でも相当な熱量。ケロシンすごいや。

とろ火?なにそれ?といったところ。火は弱まりますが、それでも普通のコンロの中火くらいのパワーが出てます。

まあ、暖房用途がメインで、湯沸かし以外に調理に使うことは考えてないので、これでよし、ということに。

#508Aの塗装本番へ

ということで、いよいよ塗装のやり直しへ。508Aはバラバラにしてあれこれ確認。
ふりかえって考えたのは、バーナ取り付け部分は耐熱塗料を吹いてみようということと、最後のクリア吹きを安いアクリルで済ますか、高くてロスの多い二液性シリコンにするかといったところ、ホムセンの塗料売り場で小一時間悩んで、安いアクリルクリアの灯油耐性を確認することに。

まずは塗装剥離。前回は剥離剤につけたあと塗膜をナイロンブラシで落としたけど、今回はボンスターというスチールウールでやってみたら、気持ちいいほどすっきり取れた上に、適当に研磨されてぴかぴかに。結構サビも取れちゃったので、このまま磨き込んでクリア吹いて終わらせることも真剣に考えちゃったりして。


再び丸裸に、ボンスターで剥離すると梨地仕上げっぽくなる

画像右側はアクリルクリアの灯油耐性を確認するために一緒に塗装するライターオイル缶。



プラサフ3回、ラッカー3回吹いて乾燥中。クリア仕上げをどうしようか考えていたところ。ちなみに前回はこの段階で落下事故を起こした。

悩んだクリア仕上げは、アクリルクリアー仕上げで灯油に浸されなかったので、高価でロスの多いウレタン塗料仕上げは見送りに。前回の失敗を肝に命じて塗ったら焦らず、酔ったらいじらずそれぞれの工程を溶媒臭が消えるまで乾燥させながら塗り重ねを進めました。

#本当の本番コールマン290Aの再塗装へ


んで、どうやら508Aの仕上げもうまくいったようなので、いよいよ290Aの再塗装着手。508Aのクリア仕上げ乾燥を待つ間に塗装剥離。


こちらも剥離剤を1週間含浸させてサビ取りとボンスターでの磨き上げでぴかぴかに。

このあと#1000番で軽く水研ぎして、プラサフ下塗り3回吹き→ラッカー色付け3回吹き→アクリルクリアー仕上げ3回吹きを粛々と実施。


時期的に乾燥しているけど、寒い時期なので乾燥を早めるために室内であっためてみた。溶媒を飛ばす効果は絶大だけど臭いがあるので家族からは白眼視。

最後の仕上げを#2000番水研ぎ→車用コンパウンド→ピカールで磨いて、508Aストーブと290Aランタンの再塗装は終了としました

#まとめ


これにて終了とする、もうやらない


なんとか様になってよかった。タンクの縁は今回のいじり経験からモールで保護することに。耐熱性が不安。

初回と違うのはバーナー取り付け部分周りを耐熱塗装で塗り分けたこと。

そしてブログ上ではあっさり完成してしまった感の290A。



これでもう一生使い潰せるでしょ。カープの次の優勝と自分の寿命とこのランタンの再塗装のどれが早いか競争の始まり。

デカールは580Aには220、228系ランタン用、290Aには散々悩んで後戻り可能なシールタイプのカナダ系ケロシン用を選択。


どちらも散々悩んだ挙句貼り付け。悩んだ割にはなんかちょっとずれてる感がすごい。ローガンだもの、仕方がない。
そして今回、かなり役に立ってくれた脇役たち。勉強になりました。


今回塗装の修正とか灯油の耐性とかの確認で活躍してくれた脇役たち。ご褒美にCAMPTRIVESのテープで化粧してあげたが、バケツに巻くと貴重なテープがなくなっちゃうので、家中に余ってるシールを貼りまくるつもり。

作業中にメモしたことを箇条書きで羅列してまとめます。

  • 508aのリング固定する大ネジ新調。サイズ忘れた。メートルネジのM5の穴で径はあってたけど目がきつい感じ。確認できたら追記。
  • ヒーター部分を固定する小ネジは3.5×10mmのステンレスを新調。ジェネレータ取り付け部分の上部に使うやつは、ジェネレータの抜き差しの時に引っかかるので削って8mmくらいに加工
  • ネジザウルスは偉大なり
  • ジェネレーターはどちらもパーツクリーナーでじゃぶじゃぶ洗浄して継続使用
  • 290Aの皮ポンプカップは前につけた時にめくれてたらしく、片側だけ異常に減ってたので交換。
  • 砕けた皮がポンプシリンダの中で粉みたいになって掃除が大変
  • なので交換用の皮ポンプカップは一晩リュブリカントオイルに漬け込んで柔らかくしてから装着
  • 290Aのベンチレーターには手をつけられず。とはいえ塗装はがれとか結構あるので再琺瑯かメッキ加工したい
  • ラッカー塗料はやっぱし灯油にやられる
  • 灯油仕様だったらクリア仕上げはアクリルで大丈夫っぽい。これから使ってみてダメだったらそんとき考える。
  • 塗料に表示されてる乾燥時間は「表面が乾く時間」と考えるべき
  • 塗料は底の面から吹く、次に胴の部分を1周、最後に肩から取付部にかけてを吹く
  • クリア吹く前のラッカーは完全に乾燥させたほうがいい(この時期4日目くらいでようやく溶媒臭抜ける)
  • 乾燥は普段目に届くところに置くと酔っぱらった時にいじりまくるので隔離する
  • 風の強い日に外で乾燥させると関東ローム層のつぶつぶがいっぱいくっつく
  • つぶつぶとか液ダレの修正は#1000→#2000番で遠慮せず水研ぎ。ただし完全乾燥後に軽く根気よく
  • 寒い日はスプレー缶をコタツであっためとく、持ち出すときはカイロ抱かせる
  • 使う前に10分くらいコタツであっためた 昭和のハクキンカイロさん大活躍
  • 俺専用の塗装ブース欲しい
  • 基本素人塗装は冬にやるもんじゃない
  • タンクの縁を保護するモールをつけたのはいいが、ケースに収まらなくなっちゃった。削るべきか。
  • 道楽とはいえ結局新品買うくらい金かかってる気がする

まだ、思い立ったら追記してゆくつもりで大体こんなもんかと。

これから使い込んでいくと塗装もあちこち痛んでくるだろうし、それをまた味として楽しんでいけたらいい、ということで、ゆるゆるレストアはこれでおしまい。

お疲れ様でした。自分に。